商店街の空洞化が叫ばれて久しい中、全国的に有名な香川県丸亀町商店街の成功事例を紹介します。
商店街全体が一つのショッピングセンターになるよう商品の種類や規模を整え、イベント広場など魅力的な都市空間を作り出すこと。そのために、土地の共同化により合理的な土地利用を可能にする必要があった。
土地の所有権制限につながるので地主の抵抗も大きかったのが大きな苦労。「丸亀町が目指すのは単に商店街だけの再生ではありません。居住者をまちなかに取り戻すことが目的です」と。高松市も、都市再開発法に基づく市街地再開発事業を提案し、単なる商店街の再生にとどまらず、都市計画として土地の権利調整を行うことが決定された。
定期借地制度を利用した土地の所有権と利用権の分離などにより、住民にとっても適切なテナントミックスの実現が可能となった。2006年に完成した再開発ビル低層階の商業スペースにはブランドショップが出店した。入居店には売り上げの下限が設けられ、それを下回ると3~5年ごとの契約更新時に営業権を失う。再開発ビルの4~5階は医療モールで、7~9階は分譲マンション。再開発前の商店経営者や高齢者の都心回帰を予想してのこと。衣食住を集約させ、暮らしやすくなった街中のマンションは高齢者に好評。自動車に依存しない、コンパクトシティーのモデルとしても評価されている。
(香川県高松市) sekai shiso 2016年2月号記事より