国や自治体が蓄積した膨大な情報。 今、それを活用するサービスが次々と生まれ、ビッグビジネスとして注目されています。 背景にあるのは行政情報のデジタル化。紹介するのは、厚生労働省の介護事業所のデータを使って、ニーズに合った施設を見つけ出すサービスです。
NHK クローズアップ現代 2014年9月17日放送から要約
【課題】
福岡市でケアマネージャーとして働く、永田やよいさんです。
介護を必要とする人や家族の相談に乗り、希望の条件に合う介護事業所やサービスを探しています。…
施設の連絡先など、基本的な情報が提供されていることは知っていましたが、具体的な内容は一軒一軒問い合わせていました。
施設を1つ探すのに丸3日かかることもありました。
「すべて自分で確認して、電話で聞いて、自分で情報を持って。
手作業でした。」
【対策】
こうした介護現場の課題に着目し、サービスを開発した介護ベンチャー企業があります。
この企業が活用を考えたのは、厚生労働省が公開した全国の介護事業所のデータです。施設の住所や介護メニューの基本的な情報でこれだけでは使い勝手がよくありません。この企業は、厚労省が公開した情報を自社のシステムに取り込み、独自に180もの項目を追加しました。例えば介護事業所の空き状況などの情報を加えます。
市内の介護事業所に呼びかけ、このサービスに登録してもらい、最新情報をリアルタイムで更新してもらいます。ケアマネージャーは「木曜日、足のリハビリに空きがある事業所は?」などと検索すれば、条件に合う事業所をすぐに探し出せるようになったのです。
介護ITベンチャー企業 社長 鹿野佑介さん
「行政が官でやられている情報と、民間ができること、これを足し合わせると理想的な情報になり、現場の課題解決ができる情報に変わる。」
【結果】
このサービスのおかげで、ケアマネージャーの永田さんの仕事の進め方は大きく変わりました。介護事業所探しにかかる時間は、3日から僅か30分と大幅に短縮できました。
眠っている行政データを掘り起こし、新たなサービスに活用するオープンデータの取り組み。日本ではまだ始まったばかりです。