2021 年1月15 日
厚生労働大臣 田村憲久 様
立憲民主党厚生労働部会より
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京都は、都と保健医療公社が運営する3病院(広尾病院・荏原病院・豊島病院)を実質的に新型コロナ専門病院とし、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる方針を決めました。そのため、妊婦をはじめ現在3病院に通院・入院している患者は転院を迫られ、今後の受診・治療や追加の費用負担等に大きな不安が生じました。最終的に、東京都が追加の費用を負担するとの方針を示したとのことですが、今後二度と、同様の事案で患者やご家族を不安に陥れるような事態は避けなければなりません。全国的に病床が逼迫し、医療が崩壊しかねない状況の下で、新型コロナ専門病院を設けること自体は評価しますが、それによって影響を受ける通院・入院患者の皆さんが安心して円滑に転院し、出産や受診・治療継続ができるよう、国として万全の措置を講じるべきです。 ついては、厚生労働大臣の責任において、早急に以下の措置を講じていただくよう強く要望いたします。
要望事項1. 国として転院に係る追加費用を患者に求めないことを速やかに決定・公表するとともに、自治体に通知すること。その上で、転院に係る追加費用を患者が負担することのないよう、出産費用の差額や転院先病院への紹介状費用、交通費なども含め、国として財政支援を講じること。
2. 転院が必要な患者について、速やかに転院先が決定されるよう、国が積極的に自治体の調整を支援すること。
3. 転院により担当医の変更が余儀なくされるなど精神的な負担も大きくなることが見込まれることから、患者の精神的ケアについても万全を期すこと。
4. 今般の緊急事態宣言の対象拡大及び今後の新型コロナウイルスの感染拡大により東京都以外でも同様の状況が発生することも予想されるため、そうした場合においても患者への負担が生じることのないよう、国として必要な措置を制度化し、予め都道府県への周知を行うこと。
5. 今回の都立病院で起こった事案は氷山の一角であり、より深刻な危機を迎えているのは地方である。既に、通常医療がままならない現実がある。今回影響を受けた産科医療はもちろんのこと、救急医療体制の実態を早急に把握すること。その上で必要な支援を速やかに行い、地方の医療体制を守ること。