交通事故を未然に防止し、交通死亡事故を抑止するため、以下のとおり
取り組むこと。
歩行者等の安全通行と交通の円滑化の確保を図ること。特に歩車分
離式信号機の整備促進や、「ゾーン30」、自転車通行空間等の整備に
よる歩行者等の安全確保を推進するとともに、信号灯器のLED化や
老朽化の著しい道路標識などの交通安全施設の更新を一層進めるこ
と。
(3)高齢者の交通事故防止対策として、運転免許証を返納しやすい環境
づくり、効果的な広報啓発や交通安全教育の推進、安全運転サポート車
の普及促進や後付け運転支援装置導入に向けた取組を強化すること。
(4)自転車の安全利用の促進に関する条例を早期に策定するとともに、
条例策定にあたっては、ヘルメット着用や保険の義務化等、県内市町
村が既に実施している施策を包含した実効性のある条例とすること。
また、自転車利用時のルールの周知徹底と安全利用に向けた教育を推進すること。
今後も、こうした取締りを一層強化することに加えて、通学時間帯の通学路を始め、多
くの方が利用する駅や商業施設の付近、速度超過違反による交通事故が多発している幹線
道路などにおいて、重点的な取締りを実施し、歩行者に配慮した運転を徹底させることが
重要である。
また、「ながらスマホ」による交通事故は、罰則が強化された昨年12月以降、減少して
いるものの、車両運転中や歩行時のスマートフォン利用等による行為が後を絶っていない
状況を踏まえ、取締りの強化や交通安全教育を拡充する必要がある。
一方で、交通指導取締りを行うだけでなく、その効果を検証することも重要であり、よ
り一層、交通事故実態を踏まえた交通指導取締りとなるよう、改善を図っていくことが必
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要である。
また、高齢者の交通事故防止対策は喫緊の課題となっており、運転免許証を返納する動
きも加速している。本県の高齢者の運転免許保有者のうち、65歳以上の免許返納者は約
33,000人で約3%、75歳以上は約21,000人で5.8%、いずれも全国平均
と同程度であり、現行制度の拡充をはじめ高齢者が運転免許証を返納しやすい環境づくり
を進めていくことが求められている。そのためには、代替交通手段の確保や公共交通機関
の充実、返納時のインセンティブの拡充など高齢者の日常生活に、より身近で、かつ多く
のメリットを感じていただけるよう、市町村、関係機関・団体などと連携した更なる取組
が必要である。
さらに、高齢者による死亡事故の状況をみると、昨年の75 歳以上の死亡事故の30%は
ハンドルやブレーキの操作ミスが原因である。この割合は75 歳未満の1.5 倍に上ると指摘
されており、加齢による認知機能の低下や身体機能の衰えを補う後付けの安全運転支援装
置(ペダル踏み違い急発進等抑制装置)の購入設置費用補助の継続や安全運転サポート車
の普及促進の取組を強化していくことが重要である。
また、昨年11 月の「自転車の安全利用」に係る県政世論調査によると、「自転車の保険
加入を義務付けるべき」と回答した者は51%、「条例等で着用が義務付けられたら普段か
らヘルメットを着用してもよい」と回答した者は55%となっており、条例制定の必要性や
社会受容性は高まっていると考えられる。