国民なら誰でも20歳になると選挙権が与えられます。 しかし、かつてはごく一部の人にしかその権利はありませんでした。財産や性別などの差別なく、みんなが平等に投票できるようになるまでには、大変な努力と長い歴史がありました。普通選挙が実現する1925年以前は、男子のみに選挙権が与えられていました。 しかし、納税の縛りがあり、決められた高額な納税額を納めている一部のお金持ちだけが有権者であったため、国民のほんの数%しか有権者は存在しませんでした。しかも、現在のような秘密投票が実現したのは、1900年であり、それ以前は公開制でした。その昔、日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦などの国を守る義務は、財産の多い・少ないに関わらず、全て成年男子全体に課せられていたのです。 それにも関わらず、政治参加が認められるのは、一部のお金持ちのみでした。 そこで、命をかけて国を守っているのに、政治にはまったく意見を言えない事に疑問を持った人達が、全国に普通選挙運動を起こしました。私たちがもつ投票の権利は、先人たちが命を懸けて闘い勝ち得た、血と汗と涙の一票です。「一人の力では何も変わらない」と考える人がいるかもしれませんが、一人一人が声を上げ、その声を代表する議会人に託せば、声は生かされます。
1889年 25歳以上の男子 直接国税15円以上の納税者 公開制 人口の1%
1900年 25歳以上の男子 直接国税10円以上の納税者 秘密投票 人口の2.2%
1919年 25歳以上の男子 直接国税3円以上の納税者 秘密投票 人口の5.5%
1925年 25歳以上の男子 納税要件の撤廃 人口の20%
1945年 20歳以上の全ての男女 人口の48%